今回は、空き家問題についてコメントします。
以前も同様の投稿をしましたが、その後も深刻な状態が続いているように感じています。
個人的には、税制や行政の問題も内在しているとも思えます。
ご存じの通り、我が国は人口減少が進展しています。
加えて、都市部に人口が集中し、地方都市では過疎化が加速中です。
総務省が発表した2023年10月時点の空き家率は13.8%で過去最高を更新、空き家数は約900万戸で、前年比で51万戸増加したとのことです。特に和歌山県、徳島県が21.2%、山梨県20.5%、鹿児島県20.3%と厳しい数値となっています。
そんな環境ですが、新築のマンションや戸建ての供給は継続しています。
新しい住居に入居する方が出れば、当然、それまでに住んでいた住居は空き、売却するにせよ、賃貸に転用するにせよ、最終的には空き家が生じることとなります。人口の絶対数が限定されている中、供給が増加すれば、空き家は増えますね。
住宅産業は裾野も大きく、重要な産業のひとつだと思っていますが、人口減少の中、無秩序な住宅供給は、将来に禍根を残す可能性を危惧します。新築の物件を供給するよりは、既存の集合住宅や戸建て住宅のリフォーム、建替え、リニューアルを推進した方が全体最適になると感じます。欧州では、古い町並みを維持するための努力が官民で行われています。日本でも、合掌造りや京都の町並みなど、築年数が古くても魅力的な住宅も少なくありません。
税制や建築基準法などの視点からは、法定耐用年数などが決められており、それを超過すると、様々な便宜が減じます。現在の技術であれば、耐用年数を超える物件供給や既存物件の劇的なリニューアルが可能かと思いますが、どうでしょう?
法的にも建替え決議は、高いハードルが存在します。
ただ、政治的な問題意識は高くないように感じています。
地方の状況はより深刻です。
都会で生活している方々も、実家が地方のケースが少なくないと思います。
やがて相続が発生した場合、実家の売却や整理に苦労されている話は多く聞きます。
価格はともかく、売却できればマシですが、買い手がつかないようなケースも多くなってきています。空き家対策で空き家の固定資産税を高くするというような報道も耳にしますが、これも効果的なのか、なんとも判断できません。
空 き家対策に関して、様々な議論はありますが、熊本のTSMC(台湾セミコンダクター)誘致はひとつの解にも感じます。製造業の工場が進出すると、大きな雇用が生まれ、人が流入します。飲食店や住宅等の需要も高まり、地域が活性化することが期待されています。税収も増えるでしょうし、交通インフラも徐々に整備されてゆくと思います。
但し、他地域の人材を奪うという面は否定できません。
海外の優秀な人材が沢山、働いて、現地で暮らしてくれると良いのですが。
日本企業は、円高対策で海外進出を行い、国内での設備投資は限定的になってしまいました。
昨今の円安傾向の中、再度、国内回帰が行われると雇用も増加して好ましいと感じます。
とは言え、日本の課題として、労働力不足や電力の供給不足も指摘されています。
TSMCのような外資企業の設備投資が増えることを期待したいところは、やまやまですが、撤退リスクもありますし、前述の通り、労働力や電力の供給の課題もあります。制約条件から、進出に二の足を踏むケースも考えられます。
補足ですが、移民の話題が政治的にも行われているようですが、TSMCのような世界的な企業の場合、優秀で非常に高い報酬の方も少なくありません。世界有数の評価であるインド工科大学の学生を採用したい場合、米国のメガテック企業では、新卒でも年収、数千万円レベルを提示するようです。日本企業がそのような優秀な学生の方を採用したくても、社内の報酬格差があり、海外企業のような条件提示はできないと言われていますね。
話が脱線しました。
現在の政府は、地方創生や少子化対策、移民政策なども掲げています。
短期的には、国内要因だけでは、人口減少は避けられません。
かと言って、移民に依存するのも様々な問題が顕在化しています。各国で問題になっている不法移民に近い層を迎え入れても、良いことはあまり無いように思います。
残念ながら、空き家問題に明確な解決策は思い浮かびません。
高齢化と人口減少が同時に起きており、地方の空洞化はより深刻になってきています。
個人的な立場だけで言えば、空室リスクの高い不動産は、ともかく早めに処分し、保有する不動産を厳選して将来に備えるとか、賃貸住宅を優先する位しかイメージできません。
あわせて、更に高齢化が進展すると、高齢者の交通事故、年金問題、介護問題等がより厳しくなってきそうです。ご両親についてもそうですし、将来的な自分自身も人ごとではありません。
より自己防衛や事前準備、対策が大事になってきますね。
次回は、「米国株投資の魅力」の予定です。
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