米国個別株投資について

 

 今回は、米国個別株投資の留意点についてコメントしたいと思います。

いつもながら、私見という位置づけなので、様々な見解も尊重します。

 

私自身、米国個別株投資を始めて、10年近く経ちます。

投資信託経由の外国株投資は、もっと以前から行っていましたが、勤務先のコンプライアンスの関係で、個別株投資開始は、しばらく後となりました。

 

基本的に海外株投資の場合のリターンは、以下の関係になります。

 

株価変動+為替変動=トータルリターン

 

これは、個別株でも投信でも同様です。

2024年は、米ドル高円安が進行しましたので、現地通貨高で為替面がプラスに働きました。

逆に今後、円高進行になると、トータルリターンにはネガティブに働きます。

仮に為替のマイナスでも、それ以上株価が上昇すれば、トータルでは、プラスになりますね。

 

さて、米国個別株投資の論点をピックアップしてみます。

 

◆手数料

◆時差の存在

◆情報収集

◆株価変動

◆逆指し値の活用

◆投資信託とどちらが良いのか?

◆ネット証券と対面証券

 

 

◆手数料

 

端的に申し上げると、個別株投資には、為替手数料と株式委託手数料の両方がかかります。

国内株式の場合、ネット証券では委託手数料無料化のケースがありますが、米国株には、手数料がかかります。

 

楽天証券の例ですが、為替手数料は、片道25銭/米ドルですから、米ドル/円が155円とすると、0.16%程度となります。株式委託手数料は、2.22米ドル以下が無料、2.22米ドル超4,444.45米ドル未満までは、0.495%、それ以上の売買金額は、22米ドルで定額です。

 

ザックリ、円から米ドルに転換し、米ドルで買付け、売却、そして円転すると、トータルで1.31%程度のコストがかかることになります。売却して米ドルのまま保有するという選択肢もあり、このケースだけが全てではありませんが、あくまでも目安としてご理解ください。

 

ネット証券でも手数料水準に相違があります。情報提供、アプリなどのシステムの使いやすさ、バックアップ機能なども考慮して選択したいものです。

 

尚、対面証券の場合は、手数料が相対的に高い傾向にあります。

こちらも、情報提供やサポート体制の対価として、評価できるかどうかがポイントかと思います。

 

 

◆時差の存在

 

言わずもがなですが、外国株の場合、時差があるため、制約が生じます。

米国株取引は、夏時間の場合、日本時間で22:30から5:00までの取引となります。

冬時間は、23:30から6:00までの取引です。

 

ネット証券では、リアルタイムでの取引が可能かと思いますが、時差があるため、取引開始からクローズまでずっと値動きをチェックすることは、現実的ではありません。

 

また、対面証券の場合は、リアルタイムでの取引ができないケースもあるようなので、注意が必要ですね。取引時間中の急騰、急落の場合の対処が困難と言えます。

 

 

◆情報収集

 

情報に関しては、各種レポートや最近では動画配信などもあり、情報収集が容易になりつつあるかと思います。が、ある銘柄が取引時間中に急落した場合、背景を把握できないと、買ってよいのか、損切りした方が良いのか、判断がつきません。

 

国内株でもそのような情報の確認は事後的にわかるケースが多いのが現状で、米国株だと更に難易度が高くなります。後述の通り、米国株は日本株と異なり、ストップ高、ストップ安が無いため、一日の株価変動が大きくなることもあります。良くも悪くも、朝、起きて驚くケースも少なくありませんね。

 

 

◆株価変動

 

日本株の場合、値幅制限(上昇幅、下落幅)が価格帯によって、定められており、一日の値動きの上限値と下限値が決まっています。一方、米国株の場合は、それがありません。私も投資した銘柄が一日で▲40%程度になって、ビックリした記憶があります。

その際は、下落の理由がわからず、速やかに損失確定しました。

 

 

◆逆指し値の活用

 

ブログでも再三、ご紹介している投資手法です。日米株式とも使えますので、日中、市場を見ることのできない方にもお勧めかもしれません。但し、使い方次第ではうまくいかないこともありますので、十分、仕組みを理解してください。

 

簡単に説明すると、一定株価以上になった際に買付け(成り行き、指し値注文)注文をする、一定株価以下になったら売り付け(成り行き、指し値注文)するというものです。

 

理想的な逆指し値の売り注文としては、80で買った株が100に上昇したとします。その際、90以下になったら、成り行きで売るという注文を出しておけば、とりあえず、利益確定ができます。

応用編ですが、100に上昇した株価が120まで更に上昇した時に、逆指し値の位置を90から100に変更します。この場合、逆指し値が執行されても、約20の利益が確保できることになりますね。注文が執行される可能性は高まりますが、利幅が大きくなります。

 

私は、保有している米国株の半分くらいは、不測の事態に備えて、常に逆指し値をしています。

 

 

◆投資信託とどちらが良いのか?

 

一概には言えません。

 

 投資信託は、基本的に株価は市場の終値、為替は翌営業日の朝の数値を用いて、基準価額を算出します。従って、基準価額は、一日、ひとつです。

個人的な印象では、個別株よりもノーロード(販売手数料無料)のインデックスファンドの方が低コストで投資できるように思います。信託報酬以外にも、その他費用がかかるので、常に正確な比較は難しいのですが、特にこだわりがなければ、米国株のインデックスファンドでも十分な気がしています。

因みに、人気商品の三菱UFJアセットマネジメントの「eMAXIS Slim 米国株(S&P500)」の場合、信託報酬は、0.094%程度です。米国個別株の手数料よりも低いですね。

言い換えると、S&P500指数を上回るリターンが望める個別株投資でなければ、投資信託で十分であるとも言えますね。

 

 

◆ネット証券と対面証券

 

 ネット証券は、リアルタイムで取引ができる点、取引コストが相対的に低い点、コールセンターや動画の配信などもある点、アプリが充実している点などから、ご自身である程度、投資判断ができる方はこちらが良いと思います。

 

一方、対面証券では、営業担当者に色々な質問ができる点、受け身でも情報が得られる点などがポイントになるでしょうか?但し、取引コストはやや割高になる点、リアルタイムの取引ができないことがある点などに留意したいところです。

 

 

過去を振り返ると、米国株式市場は長期的に安定して成長してきました。

企業の栄枯盛衰や企業破綻のケースもありましたが、様々なショックを乗り越えて、現在に至ります。エヌビディア、アマゾン、アップルのような大成功企業もある一方、消えていった企業も少なくありません。ダイナミックな展開を見せるのも米国株投資の魅力と言えると思います。

 

今回、ご紹介した留意点が参考になれば、幸いです。

 

 

次回は、「ナンピンについて」の予定です。

 

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