今週は、米国でFOMCが開催され、0.25%の利上げが決定されました。
パウエル議長講演の内容が注目されましたが、今回は好意的な受け止め方をされたようで、株式市場は半導体関連株を中心に大幅高となりました。ビッグイベントの第一関門突破ですね。持続性があるかどうか別として、昨年、軟調だったグロース株の上昇が目立ちます。
昨年から米国の利上げが相次ぎ、その都度、内外の株式市場が右往左往してきた経緯があります。
ご存じの通り、投資家に最も注目されてきたのは、米国のインフレでした。
特に米国消費者物価指数(CPI)や雇用統計の数値がFOMC(金融政策決定会合)に影響を及ぼすため、短期的にマーケットは翻弄されました。とは言え、注目される経済指標が常に同じとは限りません。局面、局面によって変化していきます。
今年、注目される経済指標は、米・中の購買担当者景況感指数(PMI)や米国個人消費などの景気を示す指数だと思います。現状、米国利上げは3月乃至は5月に打ち止めの見通しもあり、景気の状況によっては、年後半に利下げの可能性も出ています。今年は、昨年以上に景気動向や企業決算が注目されてくると思います。また、米中貿易摩擦はあるものの、中国の経済動向もコモディティ価格やグローバルの貿易などへの影響が軽視できず、再インフレの可能性も含め、注目に値すると考えています。
このように経済指標は様々ありますが、指標の結果次第で、株式市場のトレンドが大きく変化することは少なくありません。昨年は、米国CPIショックがありましたし、年末の日銀ショックもインパクトがありました。
投資戦略の視点でこれらの経済指標を考えてみます。
不測の事態に係わるリスクは潜在的に常に存在しますが、これらの経済指標に関しては、事前にスケジュールが確定しています。
例えば、月末に中国のPMI、第1金曜日は米国雇用統計、毎月10日頃に米国消費者物価指数が発表になります。また、中央銀行の金融政策決定会合のスケジュールも決定しています。余談ですが、投資信託の積立日を私は、毎月15日に設定しています。と言うのも、これら指標の発表後の方がトレンド(上昇期待ですが)に乗れると感じているからです。月末でも良いのですが、雇用統計や米国消費者物価指数の荒波を受ける可能性が出てきます。もっとも、月初、月中、月末でどの期間のパフォーマンスが良いかというデータは見たことがありませんね。あくまでも、感覚的なものです。
一般的に、インパクトが大きい指標の発表前にはポジションを落とす投資家が少なくありません。特に重要性が高いにもかかわらず、どちらに振れるかわからない局面などでは、リスク回避の目的で、一旦、ポジションを落とし、指標発表後のトレンドが見えた段階で、再度、判断するケースが考えられます。各指標を楽観的に解釈し、株式市場に過熱感が出てくる局面、逆に、悲観的な解釈が蔓延し、売られすぎとなる局面、どちらもよく見る光景です。特に前者の場合は、FRB議長によるタカ派発言(金融引き締めスタンス)でマーケットの行き過ぎを牽制する場面も度々あり、投資家も軌道修正を余儀なくされてきました。
もちろん、超長期の投資スタンスであれば、個別の経済指標に一喜一憂する必要はないと思います。
短中期の投資スタイル(1ヶ月から6ヶ月程度)の場合、リスクを取るのは重要性の高い指標が発表された後でも遅くはなく、寧ろ、トレンドがある程度見えてきた段階でポジションを持つことの妥当性が高く感じます。逆に、指標発表前に利益確定するのも一案かもしれません。昨年のように、数ヶ月単位の下落トレンドが上昇トレンドに転じたりする場合、可能であればその波に乗りたいものです。個別株でも投資信託でも安く買えるに超したことはありませんが、俗に言う「落ちてくるナイフに手を出す」投資行動は賢明とは言えませんね。
投資テーマやセクターも含めて、経済動向に基づく大きなトレンドに乗っていくこともひとつの大事な戦略だと思います。
昨年末の日本銀行の金融緩和修正は、予想されていなかっただけに市場に大きなインパクトを及ぼしました。長期金利が上昇し、銀行などの金融株は買われ、それ以外の株式が売られ、為替は円高に振れました。また、金利上昇がマイナスに影響すると考えられる不動産株や不動産投資信託(REIT)も急落しました。それまで、日本銀行は動きが無かっただけに、不意を突かれたような混乱でした。次回の決定会合では新総裁が舵取りをすることになりますが、従来以上に注目度が高くなっています。以下が2023年の日本銀行金融政策決定会合とFOMCのスケジュールです。年間8回開催されるので、おおよそ1ヶ月半に1回の頻度ですね。
日本銀行金融政策決定会合 | FOMC | ||||
1月17日 〜 18日 | 1月31日 〜 1日 | ||||
3月9日 〜 10日 | 3月21日 〜 22日 | ||||
4月27日 〜 28日 | 5月2日 〜 3日 | ||||
6月15日 〜 16日 | 6月13日 〜 14日 | ||||
7月27日 〜 28日 | 7月25日 〜 26日 | ||||
9月21日 〜 22日 | 9月19日 〜 20日 | ||||
10月30日 〜 31日 | 10月31日 〜 1日 | ||||
12月18日 〜 19日 | 12月12日 〜 13日 |
また、重要指標発表前には、株式市場は様子見になる傾向があります。特に米国の指標の場合、時差の関係もあり、午前中は株式市場が活況でも午後は売買が低調になるケースはよく見る光景ですね。
以前は、中国経済や株式動向に対する注目度が高い時期があり、日本時間の10時30分から香港市場がオープンすると、日本の株式市場も影響を受けることがありました。
個々の企業業績や株価変動を見る視点とは、異なりますが、グローバルでマクロ的な視点を加えることで他の投資家心理も推測することができるように思います。節目、節目で重視される経済指標が変化してくるのは切ないところですが、自分自身の投資戦略を微調整しながら、戦術に落とし込めると投資成果の期待値も上がってくるように感じています。
前述の通り、2023年に関しては、米国をはじめとする各国の金融政策の変化、あわせて、景気の底打ちのタイミングがポイントになりそうです。株式市場は概ね半年程度、実際の経済を先取りすると言われており、年後半から実体経済が回復するのであれば、春頃には株価は底打ちして反転していく可能性があり、それを期待したいと思います。また、株価は将来の利益の現在価値と定義され変化を期待されます。従って、良い決算であっても来期見通しが期待に届かないと株価下落というケースも頻繁にあり、逆に業績悪化によるレイ・オフがあったとしても悪材料出尽くしで株価が上昇するケースもあります。
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次週はお休みさせて頂きます。次回は、2月17日で
「3月決算企業の配当株投資戦略」の予定です。
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