今回は、各種経済指標に関して、投資家目線でコメントをしたいと思います。
各指標の金融マーケットに与える重要性は、その時々で変化します。
金融政策(政策金利変更)が最重要のケース、景気動向が最重要なケースなど様々です。
思いつくままに重用な経済指標を申し上げれば、金融政策決定会合は別として、米国の雇用統計、消費者物価指数、個人消費支出、ISM製造業景況指数、日本では日銀短観、消費者物価指数などが挙げられます。
基本的に各種経済指標のスケジュールは幸い事前に把握できます。
例えば、2024年7月後半に予定されている日米の金融政策決定会合(政策金利)の場合、「米国の利下げスタンスがどうなのか?」、「日本の金融引き締めスタンスはどうなのか?」と投資家は事前に予想を行い、投資行動を検討します。とは言え、幾ら予想しても、当たるとは限りませんし、当たったとしても金融マーケットがどのような反応を示すかはわかりません。
一般的に重要な指標が発表される前には、投資家は投資ポジションを一定程度、整理し、発表後、方向性が出てからポジションを再構築する傾向があります。従って、米国消費者物価指数発表前、米国市場は値動きが小さくなりますし、日本市場も当日の午前中が活況でも、午後からは値動きが小さくなることが多いように感じています。
重要な経済指標発表後、マーケットがより強くなったり、反転して下落トレンドになったり、流れが変わることが少なくありません。従って、何らかの理由で強い確信がある場合を除いて、重要指標発表前に大きなポジションを取ることは、一か八かの賭けになってしまうと感じます。個人的には、長期目線のポジションは継続保有するものの、短期目線の場合は、リスクを抑え気味のスタンスが多いですね。
昨夜、2024年7月の雇用統計が発表され、予想を下回る数値となり、金利が低下しました。が、バリュー株は買われたものの、エヌビディア、テスラというマーケットを牽引してきた銘柄が失速しました。金利低下は、グロース株にポジティブなはずですが、ポジション調整なのか、利益確定売りなのか、大幅下落となりました。事前にポジションを落としていた投資家にとって、とりあえず、短期的には成功と言えるかもしれません。
もちろん、翌営業日以降、大幅反発もありえますが。
金融政策決定会合に関しては、現状では、米国が利下げ方向、日本が利上げ方向とされていて、為替市場は金利差縮小で円高に向かうのか、日本の金融引き締めが困難との判断で円安方向が継続するのかを虎視眈々とチェックしているように感じています。
基本的に利下げは、株式、債券にはプラスに働くことが多く(材料出尽くしで売られることもあります)、為替に関しては、その時々で反応はまちまちです。
投資信託などを通じて新興国の債券や株式に投資されている方にとって、政策金利の変更はより重要だと思います。インフレと高金利の国である、ブラジルやトルコなどは、為替変動が大きく、政策金利次第で更に大きく変動することがあります。
重要な経済指標のスケジュールを把握して、他の投資家がどのように動くのかを推測することは、それなりに有益だと感じます。現状のトレンドが加速するのか、トレンド転換するのか、投資家心理がどのように変化するのか、というようなポイントになりがちです。
まず、日米の金融政策決定会合の2024年後半の予定を紹介します。
《日本銀行金融政策決定会合》
7 月30日・31日
9 月19日・20日
10 月30日・31日
12 月18日・19日
年間8回が予定されています。
最終日の15時以降に総裁が会見します。尚、最終日のお昼頃に速報が流れることが多いです。
後場始まる前に、株式先物が急騰したり、急落することもあるので要注意ですね。
《米国 FOMC》
7月30日・31日
9月17日・18日
11月6日・7日
12月17日・18日
こちらも年間8回です。最終日の午後(日本時間の深夜)に発表があります。
議長のコメントも今後の金融政策を占う上で、重要です。
尚、7月開催に関しては、幸か不幸か、日米とも同一日程となっています。
基本的に各中央銀行は、雇用、景気、物価のバランスの最大化を目指しています。
その他の重要経済イベントのスケジュールと概要を紹介します。
《日本》
◆日銀短観:日本銀行が企業に景況感をヒアリングするアンケートを実施するものです。
3月、6月、9月、12月に調査を行い、翌月に発表する。(12月は同月中に発表)
⇒企業の景況感や設備投資などのスタンスが確認できるため、株式市場や海外投資家のスタンスにも影響があります。但し、近年は重要度が減じてきている印象ですね。
◆消費者物価指数:物価動向を表す指標。金融政策に大きな影響を及ぼすことが多いです。
毎月19日を含む週の金曜日、午前8:30に発表されます。CPIとも呼ばれます。
⇒基本的に物価が落ち着けば、金利低下方向、物価上昇の際は金利上昇傾向です。
《米国》
◆雇用統計:FRBが重視する雇用に関する統計です。失業率や時間当たり賃金、非農業部門雇用者数などが重要視されます。原則、毎月第1金曜日に発表されます。(例外あり)
⇒米国の雇用は、景気変動で流動的な傾向があるため、変動が大きく、より重要性が高い統計です。
◆消費者物価指数(CPI):こちらもFRBが重視するインフレ指標です。毎月15日前後に発表になります。発表時間は、現地の朝、日本時間では夏時間が21:30、冬時間が22:30で、株式市場が開く前に発表されます。この数値が予想よりも高いと、金利上昇、株価下落を招くことが多いです。
◆個人消費支出(PCE):物価変動を除いた個人の支出を図る指標です。毎月下旬に発表されます。FRBが金融政策の重要指標と位置づけています。個人消費支出が落ち込むと、景気後退懸念が高まり、金融緩和方向になります。
◆ISM(全米サプライマネジメント協会)製造業景況指数:毎月第1営業日に発表されます。
また、非製造業景況指数は、第3営業日発表です。景況感を図る指標として、重視されています。最近は、50を下回ることもあり、景気後退懸念につながっています。
※各指標の発表スケジュールは、各種資料に基づいていますが、予告なく変更されることもあることをご承知ください。
重要な指標は、実際、まだまだあるのですが、敢えて、更に絞り込むと米国の雇用統計と消費者物価指数だと思います。
昨年後半から米国株が上昇してきたのは、金融緩和が近いという期待感が大きいと思います。それに加えて、エヌビディアを始めとするAI関連銘柄の活況も後押ししました。
現状、米国の金融政策は、9月の利下げと後1回、利下げが期待されているようですね。
上記の経済指標によって、利下げ期待が変わり、株式市場も一喜一憂する展開が想定されます。
次回は、「投資格言 休むも相場」の予定です。
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