各業界に様々な資格があると思います。
今回は、私が取得した資格を含め、金融系資格について個人的な視点でコメントしたいと思います。最新の情報に基づいていないこともありますので、その点は、ご了承ください。
証券会社や運用会社目線であることをお断りしておきます。
◆証券外務員資格
基本的な証券知識を問う試験です。
金融商品(株式、投資信託など)の販売に必要な資格です。営業に携わるためには必須のもので、保有していなければ営業活動ができません。新入社員に集合研修を行う企業もありますね。保有していて当然の資格です。従って、不合格になると恥ずかしいという感じです。学生の方が、入社前に取得するケースもあるようですが、入社当初はともかく、あまり差別化にはつながらない印象です。一般の投資家の方が証券知識を得るために学習するというケースも耳にしたことがあります。
◆FP資格(AFP/CFP、FP技能士)
FP(フィナンシャルプランナー)に係わる資格です。AFP、CFPは、FP協会が認定する民間資格、FP技能士は国家資格です。どちらも個人の方の資産形成や人生のキャッシュフローを算定し、適切な助言を行う業務を行うための資格です。AFPと2級技能士が同等、CFPと1級技能士が同等という印象です。CFPとAFPは、試験合格後も定期的に認定研修を受ける必要があります。また、年会費も必要です。技能士の方は、特にありません。結構、この認定研修や年会費が負担になることがあります。
金融機関では、個人向けの営業部門で評価される傾向がありますが、AFPや2級技能士だと、難易度が高くなく、取得者も多いため、差別化が難しいと思います。とは言え、個人的には、CFPと1級技能士もご利益があったかと言えば、何とも言えませんね。
◆証券アナリスト(CFA、CIIA)
日本証券アナリスト協会の資格です。財務や証券理論、マクロ経済などが試験範囲で、一次試験(三科目)と二次試験があります。私の受験した頃は、一年に一回の試験だったので、合格できないと翌年、再トライする仕組みでした。
FPよりも難易度は高いとされていますが、この資格もご利益の有無は何とも言えません。企業によっては、アナリスト手当という支給があったと耳にしたこともあります。また、取得すると奨励金が支給されることもあるようです。
検定会員になると、本部の企画部門や調査部門、運用部門に配置されることも多いように思います。このような業務を希望する方は、資格取得をアピールすることで、希望の異動につながるかもしれません。どちらかと言うと、個人営業向けの仕事というよりも、マーケットの分析や企画部門、法人部門で役に立つ傾向があると思います。
「合格したからと言って、特に良いことは無いけれど、無ければ無いで、カッコがつかないかな?」と知人と会話した記憶があります。
保有していない方でも十分な知識をお持ちの方も多くいらっしゃいますが、一応、検定会員(アナリスト合格者のことをこう言います)だと、一定水準の証券に関する知見があるとみなされる印象です。こちらは、合格後の研修は特にありません。
CFAは、米国証券アナリストです。
なかり本格的なファイナンス理論を身につけることができる資格と認識しています。
米国の試験なので、試験問題も英語で出題されます。難易度自体は、日本の証券アナリストと同水準と聞いたことがあります。
米系外資系金融機関に就職や転職する際には、アピールできると思います。
逆に日系金融機関の場合は、この資格の価値を理解していない方も多い気がしますので、検討が必要ですね。
CIIA(国際公認投資アナリスト)は、証券アナリスト合格者のみが受験できる国際資格です。国際資格ではあるものの、試験言語は、日本語と英語の選択制です。以前、受験を検討しましたが、証券アナリストとそれ程、相違が無い印象だったので、こちらは見送りました。
◆プライベートバンカー資格
2013年に日本証券アナリスト協会が実施してきた比較的、新しい資格です。
三つのレベルがあり、上位資格から、シニアPB、プライマリーPB、PBコーディネーターと段階に区分されています。
こちらの資格は、一般的な個人を対象とするよりも、富裕層向けの提案を前提としたものです。富裕層というと、抵抗感がある方もいらっしゃるかもしれませんが、テキストの中で、共働きの公務員の方などは、退職金が入ると富裕層に該当し、それまでの資産形成や人生設計と異なる現実に直面すると指摘されていました。
FP試験と比較すると、FP試験が表面的な制度の理解を求めるのに対し、PB試験はより深掘りされた理解を求めるように感じます。後者の方が、一般個人の方、富裕層の方に提案を行う際にも、より有効だと感じます。まだまだ、普及していない資格ですが、こちらも普及することを期待します。
◆その他(米国公認会計士(USCPA)、宅地建物取引士、TOEIC)
ここからは、簡単に印象を紹介します。
○米国公認会計士(USCPA)
米国の各州が認定する公認会計士資格です。
日本の公認会計士試験とは異なり、受験要件や難易度が州によって異なるようです。
また、資格制度が異なるため、国内で公認会計士と同様の会計業務はできないです。
知人に何名か、合格した方がいたので、話を聞いてみたところ、試験自体は国内公認会計士よりも難易度が低いものの、受験手続きが煩雑であることとのことです。
外資企業の財務会計部門で働きたい方などには、有効な資格かもしれません。
○宅地建物取引士
不動産業務に欠かせない国家資格です。端的に申し上げると、売買や賃貸契約に欠かせない「重要事項説明」を行えるかどうかという資格です。不動産業界には、必須の資格と感じますが、不動産業界でも思ったより取得者が多くない印象です。年々、難易度が上昇しているようです。
かつて、バブルの頃は、不動産の売買が盛んで、宅建主任者(と当時呼ばれました)の名義貸しなども頻繁にあったと聞きました。また、民法や宅建業法、建築基準法などが試験範囲となり、司法試験、司法書士試験などを目指す方の登竜門になっている面もあります。
○TOEIC
米国の非営利団体が主催する国際的な英語の試験です。
TOEICがビジネス、TOFULがアカデミックと方向性が分かれている印象です。
英検よりも、試験内容がビジネス的で、就職や転職にアピールできるケースも多いとされています。但し、外資系企業の場合は、基本的に英語は必須なので、TOEICが800と言っても、かえって逆効果になることもあり、履歴書に記載しない方が良いとエージェントの方から聞いたことがあります。一方、日系企業の海外部門を指向されている方には有効性が高いと思います。私も何回か、受験しましたが、受験テクニック的なものもあり、ある程度、対策を行うことでスコア向上を望めると思います。
これらの資格は、希望する社内異動のために目指すのか、独立して活用するのか、知識向上を目指すのみなのか、事前に方向性を固めておいた方が、学習にも身が入ると思います。
資格取得したものの、活用できないケースや社内評価が低いということも少なくありませんからね。
来週は、「空き家問題を考える」の予定です。
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