2023年前半は、日経225が大きく上昇し、他の資産を圧倒しました。
非常に恵まれた投資環境でしたね。
さて、私こと、「零細投資さん」は、どうだったでしょう?
実は、非常に苦戦し、厳しい戦いを強いられました。
現物取引は、保有株が順調に上昇したのですが、信用取引のリスク管理に大きな課題が生じました。少なくとも3回の大ダメージを受けてしまいました。話のネタにご紹介してみます。反面教になれば、幸いです。
以前、証券会社を定年退職直後の方と話をした際に、「信用取引を含め、自由に株式投資ができて最高だよ」と言われていました。しばらくして、再会した際に、「その後、どうですか?」と聞いたところ、「信用はもう止めた!」とキッパリ言われていました。もちろん、元証券会社勤務の方ですから、金融知識を含め、経験豊富ですが、やはり、自分自身でリスクを取ることは別物のようですね。個人的にも強く同意します。
以下が大負けの事象です。
◆SVBK(シリコンバレーBK破綻)、クレディスイス危機
◆日本製鉄(5401)決算発表
◆Abalance(3856)の連続ストップ安
ご存じの方も多いと思いますが、信用取引は、代用有価証券(掛け目があります)の約3倍のレバレッジが掛けられ、枠内であれば、資金拘束が無いため、効率的な売買が可能とされています。一方、大きな含み損が生じたり、代用にしている有価証券が下落したりすると追加で保証金が必要になります。極端なケースでは、含み損を解消するために、保有する全ての代用有価証券を売却して損金に充当することも考えられますし、更に悲惨なケースでは、担保としている有価証券を全て売却しても、損金に不足が生じ、追加で入金する必要があることもあります。保有していた有価証券が無くなって、追加の現金が必要ということです。
恐ろしいと言えば、恐ろしいですね。
SNSなどを見ると、成功した個人投資家の方が信用取引の有効性を強調しているケースも見られます。(成功したから言えるのかもしれませんね)現在では、ネット証券で30万円程度の資産から信用取引開始が可能なようです。
敷居が低くなるのは良いのですが、自分自身のリスク管理や金融知識、リスク許容度などを考慮してから、取引の可否を検討すべきな気がしています。特にネット証券が普及してからは、有価証券投資のゲーム性が高まり、リアルな資金のやりとりと乖離してきている印象もあります。とは言え、信用取引でうまくいっていない人間がこんなコメントをするのもおかしいですね。要は、信用取引も使い方次第ということです。
さて、失敗談ですが、
ロスカット(損失確定)の重要性は、現物でも信用でも同様です。特に信用取引の場合、リスク管理がより重要になるので、ロスカットは欠かせません。私の場合は、いつまでたっても下手くそです。値動きの大きい銘柄では、買った瞬間、0.5%程度、動いてしまうこともままあります。当初、ロスカット水準と想定していた価格を瞬間で突破されることもありました。なまじ、株価が戻ることもあるので、それを期待すると傷が深くなります。
YouTubeなどを見ると、成功した人は、怪しい雰囲気を感じた段階で、即、ロスカットとコメントされていました。損小利大(損を小さく、利益を大きく)を目指すということですね。私の場合、怪しいと感じた直後にプラス圏に浮上したりするので、判断が遅れがちです。買うタイミングが適切でないのでしょうね。損大利小の状態が最悪です。
それでは、大ダメージのケーススタディです。
◆SVBK(シリコンバレーBK破綻)、クレディスイス危機
それまでも日本株も順調に推移し、私的にも順調な展開でした。
ここでの失敗は、順調さにかまけて、建玉(信用取引残高)を多めにしていたことです。
含み益の状態でオーバーナイト(翌日以降に持ち越し)をしていましたが、急落に見舞われ、あっという間に、含み損状態へ。基本的に、リスク管理上、このようなケースでは、含み損を実現損化し、仕切り直しすべしという考えの基、泣く泣く損失確定しました。
結果的には、株価は回復しましたが、危機がより深刻になるリスクを考えるとやむを得ない判断だったと思います。
教訓としては、「順調な時にオーバーナイトするにしても、建玉の金額管理(保証金率管理)は慎重に!」というものです。
◆日本製鉄(5401)決算発表
このケースの失敗の原因は、信用取引で決算発表をまたいだことです。
先に発表された同業の鉄鋼大手JFEの決算内容が良かったことから、当日も日本製鉄の株価は高く推移していました。鉄鋼株全体が好調だったことから、含み益状態で決算発表を迎えることにしました。
ザラ場中の決算発表だったのですが、期待外れの内容からの失望売りで発表直後から、株価は売り気配(取引できない状態)で気配値を下げ、当日の高値からは、10%以上下落しました。
このケースもやむなく、損失確定です。
仮に失望売りがあったとしても、超大型株の同社株が売り気配になり、大幅下落した後まで売却できない状態になるという想定が不十分でした。ダメなら損切りするという意思はあったのですが。
ここでの教訓は、「決算発表をまたぐにしても、投資金額と最大損失のリスク管理は欠かせない」というものです。期待と逆に行ったケースの損失額も十分に想定する必要を認識しました。
◆Abalance(3856)の連続ストップ安
太陽光発電関連株式で個人投資家に人気のある同社株ですが、上昇トレンドの中で価格変動が大きい特徴があります。事前に会社四季報で株主構成や経営者、取引先などを把握して、やや危なっかしい印象もありましたが、株価の上昇トレンドを確認し、取引をしていた頃のケースです。ある日、株価は過熱感があるものの、堅調な展開の中、海外の調査機関からネガティブなレポートが出され、株価はプラス圏から売り気配のまま、ストップ安まであっという間に下落しました。更に翌日も、株価はついたものの一時、ストップ安となりました。2日間で値幅、約5,000円、単元株(100株)でも▲50万円という強烈な下落に見舞われました。
レポートの内容の真偽は別として、ケチがついた銘柄なので、保有分を安値近辺で損失確定しました。更なる連続ストップ安のリスクも考えられた上での判断です。
その後、株価は回復し、「無理して損失確定する必要があったのか?」という気持ちもありますが、リスク管理上、やむを得ない判断だったと感じています。
前述の日本製鉄同様、ザラ場中に売り気配となり、ロスカットしたくてもできない状態陥ったのが大きな敗因です。
ここでの教訓は、「流動性が低い銘柄、投資家層が個人投資家に偏っている人気銘柄では、投資金額を抑え、最悪の状況を常に意識すること!」です。
心から信頼している訳ではない銘柄に力を入れるリスクを認識しました。
もっとも、「銘柄に惚れるな!」という格言もあり、信頼している銘柄でも注意が必要なのは言うまでもありませんね。
現物取引は、中長期目線でファンダメンタル(企業業績やマクロ経済)のアプローチが主体で、信用取引は、短期目線で需給重視のアプローチが主体になると思います。
短期目線が難しいのは、良い銘柄でも超短期ではどちらに株価が動くかわからないこと、適切なロスカットが重要であること、ボラティリティの大きな銘柄を選択しなければならないことなどが思い浮かびます。
信用取引でも現物取引と同様のアプローチを取れば良いと思うのですが、リスク管理の手法が異なり、なかなか、うまくいきませんね。
また、別の敗因ですが、ダブルベアのETF(日経225が下落すると利益、上昇すると損失)にこだわったことも挙げられます。
かなり、急激な株価上昇だったので、逆張りとリスクヘッジのつもりで保有しましたが、全く、仇になりました。ブルベアは、順張りが基本ですね。
私自身、多くの失敗を踏まえ、「投資の戒め」という反省文を作り、折りを見て、過去の失敗を反芻しています。
尚、多くの知人、友人からありがたい助言や激励を頂き、この場を借りて改めて、御礼申し上げます。
結局、上期は現物は含み益増加、信用は大負けという結果でした。
零細投資家の戦いは、復活を目指し、まだ、しばらく、続きます。
次回は、「新NISAの準備に関して」の予定です。
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