早いもので、今年も折り返しですね。
2025年前半の金融マーケットを振り返ると、なんと言っても4月上旬の関税ショックの急落が印象に残ります。米国のトランプ政権の唐突な関税政策で世界的に金融市場が揺れました。
その後、内外とも大きなリバウンドがあった訳ですが、個人的には米政権の政策運営リスクを感じ、損切りの上、傍観するのみで良いとこ無しでした。
米国株式市場は、世界最大の市場で長期にわたり、上昇トレンドを継続してきました。
S&P500に投資をすれば、勝ち組になれるといった風潮も過去の実績から語られたものだと思います。しかしながら、トランプ政権誕生から、従来の米国の政治、外交、経済の政策運営が大きく変化しました。関税に関しても、発言が二転三転し、関連する企業の担当者の皆さんのご苦労が目に浮かびます。また、移民政策も強硬手段をとったものの、働き手不足から方向転換したり、政策の一貫性や理念が欠けている印象です。
現状、米国経済はまだら模様ですが、関税の影響によるインフレは限定的です。企業が関税分を負担しているようですが、7月上旬以降は、それも限界が来るかもしれません。関税政策に関する不透明感も高く、猶予期間が終わった後の投資環境は、楽観できない面もありますね。
従来、個人的にも、海外投資に関しては、米国株投資を中心に据えてきましたが、ここのところ、政策リスクを感じざるを得ません。有価証券投資は、価格変動リスクがあり、損益の源泉になることは、自明なのですが、政権の政策リスクは避けたいと感じています。
トランプ政権の関税に関する発言の中で、半導体への課税、映画への課税、医薬品への課税、交渉できない国に対する一方的な通知などがありましたが、いまだに具現化していません。
有価証券投資の場合も同様ですが、該当する企業担当者の方々の対応も難しい判断になるかと思います。
また、先日の日経新聞の記事にも取り上げられていましたが、「セクション899(内国歳入法899条)」が更なる懸念材料になっています。外国の法人が米国に支店を持っている場合の法人税率を毎年5%ずつ上乗せし、最大20%上乗せするというものと外国の法人や居住者が米国から受け取る配当や利子など所得への追加課税で毎年5%ずつ引き上げられるというものがあります。俗に言うトランプ減税の一部に該当するものですが、端的に申し上げると、米国の国債に投資した場合、現地で利息に対して毎年5%ずつ税金が上乗せされ、日本国内で20.315%が更に課税される仕組みと認識しています。米国株投資の配当金に関しても同様です。実際に予定通りに施行されるかどうかは、不透明な部分はありますが、現実的になると、有価証券投資に関してもかなりネガティブな影響が考えられます。
我々のような個人投資家もインカムに対する増税になりますし、年金などの機関投資家も投資を避ける可能性が高まり、株価や債券価格形成にも悪影響が出る可能性がありえますね。
これらの点からも、トランプ政権誕生からの政策運営における不透明感や一貫性の欠如から、米国投資のウエイトを引き下げる投資家が増えてもおかしくないと感じます。実際、春以降、欧州株や日本株のパフォーマンスは堅調で、米国から資金がシフトしたのでは?とも言われています。
これらを踏まえると、投資戦略としても米国一辺倒のリスクを考慮する必要を認識します。
唯一無二の企業や投資先であれば、この限りではありませんが、他の地域や関税、税務リスクを排除できる投資先を検討すべきであると考えます。
また、前述の「セクション899」が可決された場合、米国の高配当株の処分や米国REIT、バランスファンド(米国債の組入れ)への対応なども考える必要がありますね。仮に米国株式のキャピタルゲインに対しても、追加課税がなされるようだと、いよいよ、投資対象を絞るのが難しくなりそうです。
結論としては、
米国の税制の動向を注視しつつ、米国外、具体的には欧州や新興国投資を今まで以上に視野に入れていく必要を感じています。考えようによっては、日本の株式市場への資金流入が増加することも考えられますね。AI関連や量子コンピュータ、小型原発の個別銘柄などは、米国外で探すのが難しそうですが、色々、思案が必要になりそうです。
また、7月以降は、米国の関税が発効となり、企業業績や個人消費、設備投資への悪影響が考えられます。大きめの調整が入ることも視野にフレキシブルに対応していきたいと思います。
次回は、「嗚呼! メタプラネット!!」の予定です。
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