以前、何回か、高配当株投資についてのコメントをしました。
今回は、具体的なポートフォリオについて考えてみたいと思います。
私自身、高配当株への投資もしてきましたが、反省点や留意点を少なからず、感じています。
まず、それらを列挙してみたいと思います。
尚、高配当株投資に限らず、投資の世界は正解がありません。とは言え、確率的に避けた方が無難というアプローチはあるので、私見としてお付き合いください。
【高配当株投資の留意点】
◆セクターや業種のバランス
セクターが偏ると値動きや業績(配当の動向)の変動も類似しますので、ある程度のバランスが必要だと思います。ザックリ言うと、三井物産も三菱商事も値動きや業績変動は近いものがあります。
◆流動性を重視する
高配当を中心に考える場合は、流動性の高い大型株の方が好ましく感じます。小型株の場合、業績変動がやや大きめなこと、株価が大きく下落した場合、回復に時間がかかるケースがあること、大型株ほど企業情報が乏しいことなどからです。また、売買の際、十分な流動性が無いと、自分の売買で価格変動を起こす可能性も考えられます。
◆一銘柄当たりの投資上限比率
選りすぐりの単一銘柄に投資するという考え方もありますが、高配当株投資の場合も複数銘柄を選択した方が、想定外の場合のダメージが限定されます。投信の世界でも一銘柄の投資上限が10%程度に設定されているケースが少なくありません。投資金額が100万円程度の場合は、3銘柄程度になる公算が高いですが、できるだけ、セクター分散を心がけたいところです。
◆外部環境への依存度が高い業種(市況産業)
鉄鋼や海運、エネルギー株などの場合は、外部環境に業績が大きく影響を受け、経営努力でカバーしきれないケースが少なくありません。インフレ時には好況でもデフレ時には、業績低迷する可能性も考えられます。それらを踏まえて、銘柄選択をしたいところです。比較的、高配当銘柄が多いですが、市況産業だけに偏らないようにしたいものです。
◆減配リスク
業績低迷や業績悪化が想定される企業の場合、減配リスクが考えられます。減配となると、株価も下落する可能性が高まりますので、基本的には増収増益企業や安定した業績の企業を優先したいところです。過去の配当実績だけを見るのは危険が伴います。減配を織り込んで、株価が下落していると、見た目では、実績ベースの配当利回りが高く見えます。
◆潜在的なリスク
投資である以上、常につきものですが、高配当株投資でも潜在的なリスクは念頭に置いておきたいものです。
少し、個人的に気になっているのがロシア・リスクです。具体的には、今後もJTのロシア事業、商社株のサハリン・プロジェクトなどに影響が出てくる可能性があります。
ここからは、具体的なポートフォリオを紹介します。
いつもながらですが、あくまでも参考資料としてご覧ください。
加えて、投資は自己責任でご判断されるようご理解、よろしくお願いします。
まず、高配当株の投資候補です。正直、あまり、面白くない銘柄群です。
配当は実績ベースとしています。(本来は、予想ベースが好ましいのですが、予想値に幅があるので実績ベースを採用しました)増配の場合や株価が下落した場合は、配当利回りが上昇します。基本的には、増配が期待できるような銘柄を選択したつもりです。次に100万円程度、300万円程度のモデル・ポートフォリオを作りました。
【高配当株投資候補】
決算月 | コード | 銘柄名 | 業種 | 10月末株価 | 投資単位(円) | 年間配当 (実績) |
予想 配当利回り |
株主優待 |
3月/9月 | 4502 | 武田薬品工業 | 医薬品 | 3,918.0 | 391,800 | 180 | 4.59% | |
3月/9月 | 8001 | 伊藤忠商事 | 卸売 | 3,849.0 | 384,900 | 110 | 2.86% | |
3月/9月 | 8031 | 三井物産 | 卸売 | 3,293.0 | 329,300 | 105 | 3.19% | |
3月/9月 | 8058 | 三菱商事 | 卸売 | 4,031.0 | 403,100 | 150 | 3.72% | |
3月/9月 | 8591 | オリックス | その他金融 | 2,185.0 | 218,500 | 85.6 | 3.92% | △ |
3月/9月 | 8593 | 三菱HCキャピタル | その他金融 | 638.0 | 63,800 | 28 | 4.39% | |
3月/9月 | 8306 | 三菱UFJFG | 銀行 | 699.5 | 69,950 | 28 | 4.00% | |
3月/9月 | 8316 | 三井住友FG | 銀行 | 4,173.0 | 417,300 | 210 | 5.03% | |
3月/9月 | 8766 | 東京海上 | 保険 | 2,691.0 | 269,100 | 85 | 3.16% | |
3月/9月 | 9432 | NTT | 情報通信 | 4,094.0 | 409,400 | 115 | 2.81% | |
3月/9月 | 9433 | KDDI | 情報通信 | 4,395.0 | 439,500 | 125 | 2.84% | ○ |
12月/6月 | 2503 | キリンHD | 食料品 | 2,189.5 | 218,950 | 65 | 2.97% | ○ |
12月/6月 | 5108 | ブリヂストン | ゴム製品 | 5,362.0 | 536,200 | 170 | 3.17% |
【100万円程度のモデル・ポートフォリオ】
決算月 | コード | 銘柄名 | 業種 | 10月末株価 | 投資株数 | 投資金額 | 年間配当 (実績) |
トータル利回り | 優待 |
3月/9月 | 9432 | NTT | 情報通信 | 4,094 | 100 | 409,400 | 11,500 | ||
3月/9月 | 8306 | 三菱UFJFG | 銀行 | 700 | 400 | 279,800 | 11,200 | ||
3月/9月 | 8031 | 三井物産 | 卸売り | 3,293 | 100 | 329,300 | 10,500 | ||
1,018,500 | 33,200 | 3.26% |
【300万円程度のモデル・ポートフォリオ】
決算月 | コード | 銘柄名 | 業種 | 10月末株価 | 投資株数 | 投資金額 | 年間配当 (実績) |
トータル利回り | 優待 |
3月/9月 | 4502 | 武田薬品工業 | 医薬品 | 3,918 | 200 | 783,600 | 36,000 | ||
3月/9月 | 8058 | 三菱商事 | 卸売 | 4,031 | 100 | 403,100 | 15,000 | ||
3月/9月 | 8306 | 三菱UFJFG | 銀行 | 700 | 400 | 279,800 | 11,200 | ||
3月/9月 | 8766 | 東京海上 | 保険 | 2,691 | 200 | 538,200 | 17,000 | ||
3月/9月 | 9433 | KDDI | 情報通信 | 4,395 | 200 | 879,000 | 25,000 | ○ | |
12月/6月 | 2503 | キリンHD | 食料品 | 2,190 | 100 | 218,950 | 6,500 | ○ | |
3,102,650 | 110,700 | 3.57% |
おまけのリストです。
リスクを踏まえた上で、私が実際に投資した銘柄で300万円ポートフォリオを作ってみました。(現在、保有しているとは限りません)また、先にご紹介した原則(市況産業やセクター)に即していない銘柄もあります。あくまでも、ご参考まで。
決算月 | コード | 銘柄名 | 業種 | 10月末株価 | 投資株数 | 投資金額 | 年間配当 (実績) |
トータル利回り | 優待 |
3月/9月 | 7433 | 伯東 | 卸売 | 3,835 | 200 | 767,000 | 32,000 | ||
3月/9月 | 2768 | 双日 | 卸売 | 2,194 | 200 | 438,800 | 14,000 | ||
3月/9月 | 5444 | 大和工業 | 鉄鋼 | 4,320 | 100 | 432,000 | 16,000 | ||
2月/8月 | 3543 | コメダ | 卸売 | 2,483 | 100 | 248,300 | 5,100 | 〇 | |
12月/6月 | 7751 | キャノン | 電気機器 | 3,154 | 200 | 630,800 | 20,000 | ||
12月/6月 | 1605 | INPEX | 鉱業 | 1,518 | 300 | 455,400 | 14,400 | ○ | |
2,972,300 | 101,500 | 3.41% |
高配当株投資は、安定した配当収入が主目的です。従って、経営や業績に不安のある企業を避けることが肝要だと思います。加えて、値上がりが確保できれば、それに超したことはありませんが、基本線を安定した配当収入獲得と考えれば、投資対象もある程度、絞られてくると思っています。
議論の余地があると思いますが、個人的には、値上がり追求の銘柄は別に検討すれば良いというように考えています。昨年来の海運株や商社株のように高配当株でも値上がりした銘柄もありますが、これらは業績を反映した株価上昇と捉えています。蛇足ですが、小型株に対する投資は、配当重視よりも値上がり期待と割り切っています。投資対象ごとに期待するものが異なっているアプローチですね。
来週のブログは、所用でお休みします。
次回ブログは、11月25日の予定です。
当ブログは、毎週金曜日に更新予定です。
いつもながら、投資に際しましては、自己責任でお願いします。
内容、ご相談に関しましては、株式会社 Noble principleまでお問い合わせください。
尚、HP下部にInstagramのリンクを用意させて頂きました。
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