高配当株投資の留意点

 

 来年からの新NISAを控え、SNSなどで高配当株投資についての投稿を目にする機会が増えました。

何回か、このブログで高配当株投資についてのコメントをしてきましたが、今回、アップデートしたいと思います。

 

まずは、質問形式で、

 

◆企業の配当は、年何回あるのでしょうか?

◆配当利回りとは?

◆配当を受け取れる時期はいつ頃でしょうか?

◆配当が減ること(減配)や配当がなくなること(無配)はあるのでしょうか?

◆配当落ちとは?

◆配当の税制は?

◆配当利回りの高い業種は?

◆その他の留意点

 

 

◆企業の配当は、年何回あるのでしょうか?

 

 ケースバイケースですが、本決算と中間決算の2回配当されるケースが多いです。

3月/9月決算、6月/12月決算の企業が多いですね。

 

とは言え、中には、本決算だけ配当するケース(年1回)、また、あおぞら銀行(8303)や一部のETFのように四半期(年4回)に配当を出すケースもあります。

但し、配当機会が多いから、配当総額が大きいという訳ではありません。総額100円の配当を1回で出すか、2回で出すか(50円×2)、4回に分けるのか(25円×4)、という意味合いです。

 

 

◆配当利回りとは?

 

 年間配当額を株価で割ったものです。年間配当がベースなので、半期では半分程度の利回りになります。配当が一定ならば、株価上昇で配当利回りは低くなりますし、株価下落で配当利回りは高くなります。また、予定外の増配で配当利回りが上昇することもありますね。

基本的には、企業が稼いだ利益の一部を配当に回すという財務戦略で、その割合を配当性向と言います。場合によっては、配当性向が100%を超えて配当されることもありますね。(利益以上の配当を実施すると意味合いです)

投資家にとって、一時的にはうれしいですが、持続性には疑問がつきます。

 

投資家としては、配当利回りが高い方がハッピーですが、利益が伸びた上での高配当なのか、別の理由での高配当なのか、などの理解が大事だと思います。

配当利回りが5%超の銘柄も多くありますが、配当利回りが高すぎる場合、何らかのネガティブな理由がある可能性も考えられ、慎重な投資判断が必要に思います。

 

 

◆配当を受け取れる時期はいつ頃でしょうか?

 

 前述の通り、本決算や中間決算の配当の権利付き最終日(対象月の受け渡し最終日)に保有することで、配当を受け取ることができます。企業によって、配当支払いのタイミングは異なりますが、概ね、2ヶ月から3ヶ月以内に支払いがあります。3月決算の企業であれば、6月末までに支払われるというイメージです。

 

 

◆配当が減ること(減配)や配当がなくなること(無配)はあるのでしょうか?

 

普通にあります。

 

この点も、前述の通り、企業の利益がベースになりますから、赤字転落や業績悪化によって、配当が減るケースや無配になるケースはあります。最近は、円安効果で好業績のケースも多く、増配が多いですが、円高進行などで、今後、あり得ることを理解しておきたいです。

その企業が属するセクターの業績動向や景気動向、為替の影響、その企業の配当に対する姿勢などから判断することになると思います。

予想外に配当が無配や減配になると、株価も急落することも多く、ダブルでダメージを受けかねませんから、やはり銘柄選択は大事ですね。

 

 

◆配当落ちとは?

 

 決算月の受け渡し最終売買日に保有していれば、配当の権利を確保できます。一方、翌営業日は、配当相当分の価格を除した株価から再スタートすることになります。

 

因みに、2023年12月の場合、権利付き最終日が12月27日で28日が権利落ち日となります。仮に株価が1,000円の企業の場合、100円配当だとすると、900円が権利落ち日の再スタートの価格となります。市況が良い時は、権利落ちの分を埋めて、1,000円超の株価になることもあります。

配当落ちを端的に言えば、会社という箱があって、半期で稼いだ現金の一部を配当することで、箱の中の現金が減少し、その分、一時的に株価が下落することになります。

多くの場合は、配当落ちがあっても、しばらくすると株価が回復するのが一般的です。

 

 

◆配当の税制は?

 

 配当には税金がかかります。が、上場株式については、分離課税で20.315%です。分離課税なので、他の所得と合算されず、定率の税負担となります。因みに、所得が700万円超になると(控除を考慮しない場合)、23%以上の所得税が発生するので、有価証券の税制の方が有利となりますね。

また、譲渡損が発生した場合は、確定申告をすることで、税の還付を受けることができます。

 

米国株については、現地で10%課税され、その上で、国内で20.315%課税がされます。従って、額面の70%程度の手取りになります。前回のブログでも紹介しましたが、新NISAでも米国個別株の場合、現地の税負担は非課税になりません。

 

 

◆配当利回りの高い業種は?

 

 株価変動があるので、一概には言えませんが、現時点で高配当株の多いセクターとしては、

銀行、商社、保険、通信、鉄鋼、機械、海運、石油などが思い浮かびます。

但し、海運や鉄鋼、石油などは市況産業なので、市況が悪化すると業績も悪化し、減配や無配転落リスクも少なく無いように思います。

比較的、業績の変動が少なく、減配リスクの小さいのは、保険や通信かな?という印象です。

 

 

◆その他の留意点

 

■ポートフォリオ構築

 

 複数銘柄を保有する場合は、業種を分散させた方が無難だと思います。

業種全体が不況に陥ると、株価下落や減配の可能性が高まり、どの銘柄も多かれ少なかれ、影響を受けることになります。

また、可能であれば、円高に強い企業、円安に強い企業などを織り交ぜて保有することでポートフォリオの安定が図れると思います。

 

■決算時期

 

 無理して、決算時期を分散する必要は無いかもしれませんが、高配当株でも株価変動がある以上、銘柄入れ替えなどの点から、決算時期も分散した方が好ましく思います。3月/9月決算の銘柄だけだと、配当受け取り時期が6月頃と12月頃に集中します。6月/12月銘柄を加えることで、配当受け取り時期が3月頃と9月頃に分散できます。

株価変動に伴い、銘柄入れ替えをする際も、決算時期が異なる方が対応しやすいように思います。

また、高配当株投資を行う際に、次の決算(配当の権利)がいつか?というのは大事だと思います。1ヶ月後なのか、5ヶ月後なのか、把握することが肝要ですね。

高配当株は、決算時期に向けて、緩やかに株価上昇するケースもあり、特徴を把握しておきたいものです。

 

■配当に関わる投資戦術

 

前述の通り、決算期をまたぐ、配当落ちで株価は一時的に下落します。

 

一般的には、配当を受け取り、そのまま保有し、株価の回復を待つというスタンスだと思いますが、逆に配当落ちの局面で投資することで、株価回復が含み益増加につながる公算が高まります。もちろん、次の配当まで半年程度あることを念頭に置く必要はあります。

また、決算時期直前に、何らかの理由で株価急落した場合、配当取得のチャンスになることもありますね。

 

■株主優待制度

 

銘柄によっては、株主優待制度があります。

 銘柄により条件は異なりますが、決算期に保有していれば権利獲得のケース、1年以上保有が条件のケース、半期ごとに権利獲得できるケースなどもあります。条件については、要確認ですね。また、条件変更も結構、ある印象です。長期保有前提の場合は、証券会社での貸株制度に参加すると条件を満たさないことがあり得ますので、要確認です。

高配当株投資と直接的に関連があるわけではありませんが、一応、優待制度の確認もしておきたいものです。配当利回りに優待が加わると、投資家目線では更に満足度が上昇することもあります。

 

 

次回は、「最近の為替動向について」の予定です。

 

 

当ブログは、毎週金曜日に更新予定です。

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