2024年、早くも折り返しとなりました。
今回は、投資家目線で株式市場を振り返ってみたいと思います。
まず、代表的な株価指数の数値から確認してみます。
2023年年末値、2024年6月21日の値と年初来の騰落率です。
《日本市場》
日経225;33,464.17→38,596.47 +15.34%
TOPIX:2,366.39→2,724.69 +15.14%
(米国市場)※米ドルベース
S&P500:4,845.60→5,464.62 +12.77%
NASDAQ総合:15,164.01→17,693.38 +16.68%
参考:米ドル/円:141.04→159.80 +13.3%
一応、各騰落率とも大きな違いはありませんね。
もっとも、米国株は米ドル高円安の為替要因の影響で、円ベースでは、為替変動の+13%を加えた数値になります。
改めて、振り返ると、今年は日米とも株式市場は堅調で、特に日経225(日経平均)は、外人買い主導で、春先に1989年年末の38,915円の高値を更新しました。
もっとも、組入れ銘柄も大きく異なることから単純に高値更新とも言い切れませんが、
背景として、指摘されているのが、米中対立と中国景気悪化でアジア株投資枠において、中国の比率を下げ、日本株の比率を上げたと推測されています。また、新年早々の能登の地震の影響から早期の利上げ可能性が低くなった点もポイントと言われています。
今年の前半の上昇は、海外投資家の買い越しが主導したと言って良いと思います。
実際に、東京証券取引所が毎週木曜日に公表している売買動向を見ても、今年に入って、主たる買い手は、海外投資家と自社株買いを行っている事業会社がメインです。国内の金融機関は、各種規制で株式投資は減少気味、年金は株価が上昇すると、リバランスのため売却するスタンス、個人投資家は逆張りがメインで高値を追ってゆくケースは限定的、ということで、株価上昇は海外投資家動向次第になっているように感じます。
ここに来て、海外投資家がやや売り越し基調になってきています。
想定されることは、ある程度、日本株の比率が高まったことや円安で米ドルベースでのパフォーマンスが為替要因で減じていること、政治がやや不安定になっていること、企業決算の見通しが期待ほど高く無かったこと(例年、日本企業は控えめな傾向があります)などから、4月以降、一進一退の株価推移になっていると感じています。
6月後半になって、水準を切り上げつつありますけれど。
春先の日本株の上昇を振り返って見ます。
日経225が大きく上昇しましたが、銘柄やセクター(業種)に大きな偏りが見られました。
半導体株、自動車株、商社株、金融株などは大きく上昇した一方、内需関連の陸運、鉄鋼、不動産などは、指数上昇の恩恵が限定的でした。なかなか、循環物色がされませんでしたね。
SNSなどを見ても、日経225が大きく上昇しても、自分の持ち株が全然、上がらないという声も多かったようです。
要因としては、海外投資家のスタンスとして、基本的には国際競争力のあるセクター、また、マクロ経済を分析した上で、恩恵を受けられる可能性の高いセクターに資金が集中したことが挙げられると思います。また、以前のブログで紹介しましたが、日経225は、株価平均を基に算出される指数のため、株価が高い銘柄の影響度合いが高くなります。具体的には、ファーストリテイリング(ユニクロ)、東京エレクトロン、ソフトバンクG、アドバンテストの値動きが反映されやすい特徴があります。先物に関わる売買でも、これらの銘柄が主導する傾向があり、小型株や日経225非採用銘柄には恩恵がありません。米国でもエヌビディアを筆頭に、半導体株の上昇が目立ち、国際競争力のある日本の半導体企業にも資金が入ったと感じます。
日経225が3月に最高値を更新した一方、TOPIX(東証株価指数)は、高値を更新していません。日経225が225銘柄で構成されるのに対し、TOPIXは、4月末時点で、2,146銘柄で構成されています。こちらは、時価総額加重の指数ですから、トヨタや銀行株などの影響度合いが高くなります。日経225は、半導体株などグロース株の影響度合いが高く、TOPIXは、高配当株などのバリュー株の影響度合いが高くなります。
従って、TOPIXが最高値を更新していない以上、個人投資家が保有している銘柄の上昇も限定的と言えますね。
米国市場はどうでしょうか?
端的に言えば、米国も限られた銘柄の上昇で指数が引き上げられた状況です。
S&P500指数も高値を更新していますが、単純平均(500社の単純な平均という意味です)では、上昇していないようです。実際、消費やヘルスケア、素材などは、あまり株価上昇が見られません。エヌビディアを始めとする一部のグロース株が指数上昇に貢献したと言えます。
エヌビディアの急激な株価上昇は、バブルでは?という声も聞こえてきます。
もちろん、株価上昇率は目を見張るものがありますが、業績の伸びも強烈です。業績の裏付けがある上での株価上昇なので、バブルとは言い切れないと個人的に感じます。生成AIに関わる需要の伸びは、まだ、不透明感がありますが、裾野の産業を含めて、大きなイノベーションにつながる可能性を期待しています。
2024年後半に関してはどうでしょうか?
米国大統領選挙、フランスを始めとする欧州での選挙などが控えます。
日米の金融政策も不透明感が漂います。
例年、7月から9月にかけ、アノマリー(合理的な説明はできない過去の傾向)では、株式市場は軟調な展開になるとされています。選挙や金融政策が控えるので、高値を更新していく展開というよりは、安い局面があれば、仕込み場になると想定しています。
また、例年、晩秋から新年に向け、株式市場は上昇する傾向があります。
大統領選挙が11月ということも踏まえると、選挙後のラリーを期待したいと感じます。
もちろん、企業業績や金利動向、金融政策次第では、7月以降も活況な展開も考えられます。
が、選挙結果次第で、政策が変わる以上、選挙が近くなるにつれて様子見の投資家が増加しそうです。
来週は、「物言う株主とは?」の予定です。
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