2025年の投資リスクを考える

 

新年、明けましておめでとうございます。

本年も宜しくお願いします。

 

今回は、年初に因み、「2025年の投資リスクを考える」というテーマです。

 

2025年は、日本を始め、ドイツ、フランスなど各国で選挙が予定されており、政治体制の変化の可能性がありそうです。もちろん、1月後半に就任するトランプ大統領の施策も大注目です。

 

その前に、年初早々、日本製鉄のUSスチール買収中止命令が下りました。

 

買収側、被買収側とも諸条件が満たされ、WIN-WINの買収劇になるはずでした。

 

鉄鋼関連の労働組合、競合企業からの反対にバイデン大統領が折れた印象です。

この件は、思った以上に深刻な影響を及ぼす可能性があると感じています。民主主義、資本主義の本山である米国で、経済合理性とは別の力が働き、友好的な買収が頓挫した事実は、今後の米国企業への買収、米国への進出などの足かせになるかもしれません。

 

 例えば、ソニーグループや任天堂、トヨタ自動車などが、米国の企業を買収する意向があっても、積極的に取り組みにくくなったと思います。また、米国内のM&Aであっても、今回のケースを踏まえると、経済合理性以外の要素で破談になるリスクが顕在化したとも言えますね。

特に安全保障面に関しては、範囲の問題なのか、どの点が安全保障に抵触するのか等の具体的な説明が欠けていたように思います。他の企業からすると、どのポイントに注意すれば良いのか、不明のまま、買収中止命令に至り、今後の戦略に影を落としそうです。

 

 ただでさえ、トランプ次期大統領の「米国至上主義」は、他国から見れば、米国との付き合いを見直すキッカケになりかねないところに、悪い方のサプライズが起きてしまいました。

1月6日の新年最初の日本の株式市場では、同じ自動車株でもトヨタが4%以上売られて、スズキが5%以上買われるという現象が起きました。米国に強いトヨタが避けられ、インドに強いスズキが買われたとも解釈できます。

 

それでは、本題に入ります。

2025年のリスクとして、最大のものは、米新大統領のトランプ氏の施策で米国経済や世界経済がどのような変化をもたらすかという点に尽きると思います。

 

選挙公約として同氏が挙げていた主なものは、

関税強化、不法移民排斥、減税と言ったものですが、これらを推し進めると、米国は再び、インフレに陥るリスクが非常に高まります。もっとも、新大統領ご本人の意向は、別としてブレーンには共和党を始め、非常に優秀な方々が控えているので、極端な施策にはブレーキがかかると期待していますけれど。

 

まず、関税強化ですが、私の認識では関税分、米国内の物価が上昇します。

 理解不足であれば、お詫びしますが、輸出元は通常の価格で米国に輸出します。そこで関税が課税され、米国内で消費者は関税が加わった価格で財を購入する流れになると思います。関税を負担するのは、実質的に消費者ということになりますね。

 政府には関税が歳入となりますが、消費者は関税のかかった商品に関しては、従来よりも高い価格で購入することになると思います。結果、物価が上昇し、個人消費が落ち込むリスクが高まると想定します。もちろん、米国内で生産されたものには、関税はかかりませんが、多くの輸入品や原材料が課税の対象になると思われます。他国の輸出元は、通常の価格で輸出するものの、消費者レベルでは関税分、価格が上昇するため、販売数量の減少が見込まれると考えます。米国に輸出する企業は、数量ベースでネガティブな影響を受ける可能性が固いということです。また、特に中国、メキシコ、カナダへの高関税が課される可能性が指摘されています。日本の自動車会社は、メキシコへ積極的に進出し米国への輸出拠点にしており、対策はなされていると思いますが、業績への影響が懸念されます。

 

新大統領は、関税の収入分を、減税に回すという意向のようですが、それで消費が回復するか、何とも言えないように感じています。

 

 不法移民排斥の件に関しては、不法移民と正当な移民をどこで線引きするのか、不明な面もありますが、基本的には、米国はいい意味で移民が活躍してきた歴史があります。ご存じの通り、テスラのCEOは、南アフリカ出身ですし、エヌビディアのCEOは、台湾出身です。

世界中の優秀な人達が米国を目指して、現在の繁栄に至ります。ここにブレーキがかかる懸念もあり得ます。また、米国では移民の方々が、米国国民が好まない仕事に従事し、経済を支えてきた面もあります。強引に移民排斥を進めると、労働力不足が加速し、賃金上昇を招き、これもインフレ要因となる可能性も指摘されていますね。

 

FRBの金融政策は、昨年から利下げに転じ、2025年年初の段階では、年内2回程度の利下げが見込まれています。但し、実際にインフレ再燃となると利下げ回数が減じるだけでなく、利上げの可能性も出てきてしまいます。

 

 これらを踏まえると、米ドル円の為替に関しては、金利差という面では、米ドル高/円安に進みやすい一方、トランプ次期大統領は米ドル安を指向している点と関税と減税のバランスが崩れると財政悪化につながり、逆に米ドル安/円高に進む可能性も考えられます。

仮に外部要因で極端に円安が進行した場合、日本銀行の金融政策も、景況感にかかわらず、利上げスタンスが強まる可能性もあり得ます。

 

また、トランプ氏は、NATOや同盟国に軍事費用負担を求めるスタンスのようです。

折しも、フランスやドイツ、韓国でも政情が不安定になっている中、各国とも協調路線を目指さなくなると、その結果、世界各地で地政学リスクが高まる可能性もあり得ます。

 

この場合、有事のドル買いなのか、金が買われるのか、仮想通貨が買われるのか、どの資産が選好されるかは、わかりませんが、リスクオフへの対応は念頭に置いておきたいところです。

 

米国の株式市場は、2023年、2024年と非常に好調なパフォーマンスとなりました。

AIや量子コンピュータ等に対する期待も引き続き高いですが、過熱感も否めません。インフレ再燃や地政学リスク増加、景気悪化等をキッカケに大きめの調整が来る可能性もあり得ますね。

 

現在のところ、米国の商業用不動産や中国の不動産市況に陰りは見えますが、金融機関の信用不安には至っていません。潜在的なリスクとして、これらが顕在化することも考えて投資戦略を検討したいところです。

 

経済評論家の方々の2025年の見通しを聞くと、楽観的なスタンスの方が多いように思いますが、上記のリスク要因から株価変動や為替変動の振幅が予想以上に大きくなる可能性もありますね。資金管理を含め、リスク管理が重要になる年かもしれません。

 

次回は、未定でお願いします。

 

 

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