3月決算企業の高配当株投資戦略

 

早いもので、今年も2月中旬になりました。

 

 今回は、増配が相次いでいる3月決算の高配当株投資について考えてみたいと思います。

個人的に期待できるセクターから数銘柄選択し、値上がりと配当の両方を目指すアプローチを紹介してみます。あくまでも、個人的見解です。

 

尚、個別企業名は、参考情報であり、最終判断は自己責任でお願いします。

 

 2024年からの新NISAを控え、私は、来年に向けて更に高配当株投資に注目が集まる可能性を感じています。投資枠の拡大と投資期間の恒久化によって、資産保有層の配当によるインカム収入確保のニーズが高まるであろうことが背景です。高配当株投資を経験されていない方も最低単元でも良いので、来年以降のトレーニングの意味合いで投資保有されるのも一案だと思います。

 

以前のブログでも投稿しましたが、何点か、高配当投資に関する留意点をまとめてみます。

投資に対する考え方は様々ですが、こんな考え方もあるという視点でご覧ください。

 

 

◆銘柄を分散する(複数銘柄所有する)

 

 為替や資源価格、金利などの外部要因で企業業績や株価は影響を受けます。気に入った銘柄に集中投資し、配当と値上がりを目指すことも戦術のひとつですが、思わぬ展開になった場合、長期に渡り、含み損の状況になりかねません。ということで、私は、複数の銘柄に分散することが望ましいと思っています。また、ファイナンス(財務理論)の考え方では、複数の銘柄に投資することで、リターンは加重平均を維持した上でリスクが減少するという捉え方があります。

 

 

◆セクター(業種)を分ける

 

 上記の通り、分散投資することでリスクを抑えることができますが、同じセクターの複数銘柄に投資した場合、相関係数が高くなり、期待した分散効果が十分発揮できないことが考えられます。例えば、商社のセクターで見ると、多少の値動きの違いはあるものの、三菱商事、三井物産、伊藤忠商事は概ね、同じような値動きをする傾向があります。背景としては、業種として円高で恩恵を受けるケース、逆に業種として円安の方が業績にプラスになるケースがあったりすることから、業種ベースで見ると各社の株価変動は似てくることが大半です。可能な範囲で業種も分散したいところです。

 

 

◆暴落時(株価が安い時)に投資できることが好ましい

 

 通常の投資でも同様ですが、株価水準が低い時に投資できるに越したことはありません。特に高配当株の場合は、分子の配当が一定だとすると、分母の株価が低い方が配当利回りはより高くなります。仮に高配当株が急落してもマーケットが落ち着けば、配当を意識した資金流入も期待できると思います。なかなか、株価が急落する局面で投資判断することは難しいですし、考えている内に株価が戻ってしまうことも多いのですが、個別要因ではない理由でマーケットが急落した際には、高配当株への投資を検討したいところです。逆の見方ですが、このような背景があるため、暴落時でも株価下落が限定的という特徴もあります。

 

 

◆業績の安定している(向上している)銘柄を選択する

 

 言わずもがなですが、高配当狙いの投資で、減配や無配転落は避けたいところです。従って、業績が上向きの企業や安定している企業を選びたいものです。先々、業績悪化が懸念される場合、今期の配当は確保できても来期以降の配当の見通しが立ちませんし、そのような場合、株価下落が生じるリスクも高まります。せっかく、配当を受け取ったとしても、それ以上に株価が下落しては残念ですからね。

 

 

◇尚、低PBR(株価純資産倍率の低い)の企業に東京証券取引所が企業戦略改善の要請を出しています。要は、株式時価総額が帳簿上の純資産価値を下回るような企業は、効果的な財務戦略、すなわち、配当や自社株買いなどの株主還元を含め、企業価値を高める施策をとってくださいという趣旨です。従って、今後、低PBR企業の中で増配や自社株買いなどの還元策が実施される可能性が高くなってきているように感じています。ついては、高配当投資家に、追い風が吹いてくると期待しています。

 

 さて、この後は、個人的に気になるセクターごとに銘柄を紹介してみたいと思います。

繰り返しになりますが、投資勧誘を目的としたものでは無く、投資判断はご自身でお願いします。

配当利回り及び予想配当の数値は、四半期決算直後で数値を追えていませんので、会社四季報冬号の数値(発行後の株価水準の変化、増配を考慮していません)でご紹介します。株価は、2023年2月10日の終値、配当は四季報ベースの税引き前、年間配当金です。

 

年央から後半に、グローバル経済の景況感が回復するという期待を込めて考えてみると、鉄鋼、商社、半導体、金融というセクターが思い浮かびます。それらのセクターから数社、ピックアップしてみます。

 

 

【鉄鋼セクター】

 

 このセクターは、中国の脱コロナ政策によって、鉄鋼需要が回復するという期待があります。先日の日本製鉄(5401)の決算では想定以上に販売価格転嫁が進み、株式市場では高い評価を受けました。また、神戸製鋼(5406)の業績も急回復しました。JFE(5411)の決算は、やや見劣りしましたけれど。また、鉄鋼株は高配当株という側面もあります。業績回復が鮮明になりつつあり、配当の魅力だけではなく、株価も上昇中です。

 

・日本製鉄(5401);2,783.5円 予想配当;180~200円 配当利回り:6.47%

・神戸製鋼(5406):768円 予想配当:30~35円 配当利回り:3.91%

・JFEホールディングス(5411):1,550円 予想配当:80~90円 配当利回り:5.16%

 

 

【商社セクター】

 

 以前、米国のバフェットさんが投資されたとでも注目を集めました。バリュー株(割安)という視点からも魅力的だったようです。実際、業績向上を伴い株価は順調に推移しています。資源高やインフレも業績にプラスに働きました。大手総合商社は各社とも高い配当水準を維持しています。比較的、資源関係に強い三菱商事、繊維に強い伊藤忠商事などの特徴もあります。

 

・三菱商事(8058):4,638円 予想配当:155~160円 配当利回り:3.34%

・三井物産(8031):3,971円 予想配当:130円 配当利回り:3.27%

・伊藤忠商事(8001):4,138円 予想配当:140円 配当利回り:3.38%

・丸紅(8002):1,768.5円 予想配当:75円 配当利回り:4.24%

 

 

【半導体セクター】

 

 昨年から半導体の市況が悪化し、各社の株価、業績も低調気味でした。その一方、シリコンサイクルで今年の後半には半導体市況が底を打ち、回復に向かうという見通しもあります。大規模な設備投資が必要なため、数年おきに過剰設備が発生する構造ですが、電気自動車やメタバースなどの需要の高まりが期待され、将来的な需要拡大が見込まれるセクターです。但し、単元株(最低投資金額)が高い銘柄が多い点、配当利回りでは他の業種よりもやや見劣りする点などを承知しておきたいところです。また、半導体産業は、行程が分かれており、企業によって特化している分野が異なる点も留意しておきたいですね。

 

・信越化学工業(4063):19,550円 予想配当:450~550円 配当利回り:2.30%

・東京エレクトロン(8035):48,270円 予想配当:1,482円 配当利回り:3.07%

・ソシオネクスト(6526):8,450円 予想配当:160~200円 配当利回り:1.89%

・アドバンテスト(6857):10,170円 予想配当:130~140円 配当利回り:1.28%

 

 

【金融セクター】

 

 昨年12月の日本銀行金融政策決定会合で、金融緩和修正が行われたことから、銀行を初めとする金融株が動意づきました。長期金利上昇により長短金利スプレッド拡大による収益改善(融資の金利上昇)、運用環境の好転などを背景に株価は上昇しました。但し、PBR(株価純資産倍率)など、現在も相対的に割安な水準が継続しています。また、配当利回りも高いため、今後の金融政策を考えると、投資対象として検討の余地が高そうです。銘柄によりますが、比較的、単元株の投資単位が小さいのもポートフォリオを組む上でメリットがありそうですね。

 

・三菱UFJFG(8306):957.8円 予想配当:32円 配当利回り:3.34%

・三井住友FG(8316):5,739円 予想配当:230円 配当利回り:4.01%

・東京海上HD(8766):2,714円 予想配当:100円 配当利回り:3.68%

・第一生命HD(8750):3,032円 予想配当:86円 配当利回り:2.84%

 

 

【その他:おまけ】

 

業 績が安定しているという点からは通信会社も投資候補になると思います。劇的な業績向上が見込める業種ではありませんが、業績も株価のブレも限定的という特徴があります。NTT(9432)やKDDI(9433)が該当しますね。安定配当の銘柄です。

 

逆に、配当利回りが10%超ですが、将来的な業績の見通しに強弱感が対立し、株価変動が大きなセクターに海運があります。コロナによる運賃急騰の反動がどのようになるかという視点で見方が分かれています。なにぶん、株価変動が大きい点に注意が必要です。日本郵船(9101)、商船三井(9104)、川﨑汽船(9107)などが代表銘柄です。

 

 

 2月初旬までは、欧州株が最高値を更新し、日米株式とも比較的、堅調に推移してきました。とは言え、投資格言ではありませんが、「節分天井、彼岸底」という教えもあり、3月末に向けて、株式が売られる局面もあると思います。良い投資タイミングがあると良いですね。投資には、配当メイン、値上がりメイン、その両方を狙うという戦術がありますが、今回は、両方を狙う欲張りな戦術をご紹介しました。

 

余談ですが、これらの銘柄が崩れるときは、私も相当なダメージを負っていると思います。

以上、ご参考になれば幸甚です。

 

来週は、「今更ながら、何故、株価は動く?」の予定です。

 

当ブログは、毎週金曜日に更新予定です。

いつもながら、投資に際しましては、自己責任でお願いします。

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